
2005/02/04記
1月20日の官報で藤代町を廃し取手市に編入することが総務大臣によって告示されました。これで新取手市が誕生することが確実になったわけです。
合併した新取手市の財政はどうなるのでしょうか。「とりで・ねっと」というインターネットの掲示板などを見ると、取手市民の中には、という考えをお持ちの方も相当いらっしゃるようですが、果たしてそうなのだろうかという疑問から、両市町の債務の状況を調べてみました。平成15年度末の両市町の債務の状況は下の表のようになります。(現在は15年度末の数字が最新の情報です。)
- 財政逼迫の藤代を吸収することによって、取手の債務は大幅に増える。取手市民は藤代の赤字分まで負担させられて大変だ。
平成15年度末における取手市・藤代町債務の比較 単位:千円 債 務 の 種 類 藤 代 取 手 合 計 普通会計の地方債残高 9,764,248 24,522,306 34,286,554 一部事務組合の各自治体分 10,531,406 24,118,006 34,649,412 債 務 負 担 行 為 2,267,759 2,571,549 4,839,308 合 計 22,563,413 51,211,861 73,775,274 H16.3.1人口(人) 33,430 80,510 113,940 一人当たり債務 675 636 647 これを見ていただければお分かりのことでしょうが、藤代の方が一人当たり債務は若干多くなっています。一人当たり約4万円の差があります。これを多いと見るかそれほどでもないと見るかは、意見の分かれるところかも知れません。
上の表からお分かりいただけると思いますが、どちらの自治体もかなりの債務を抱えています。自治体の財政状況を見るのによく利用される『決算カード』というものがあります。これは全国同じ基準によって作成されるため、各自治体の比較などに用いるには大変便利なものです。上の表にある「普通会計の地方債残高」というのは、その決算カードから抜き出したものです。ここには「一般会計」「特別会計のうち国が定めるもの」が含まれています。国が定める特別会計とは「国民健康保険」「老人健康保険」「介護保険」です。藤代町にはこのほかに「藤代駅南口土地区画整理事業特別会計」「介護サービス特別会計」という二つの特別会計と、「」という企業会計があります。それら全ての地方債の残高は
このように多くの債務を抱えることになったのには、国の政策が大きく影響しています。国は景気対策としての公共事業を進めてきました。それが債務を膨らませることにもなってきたのです。借金をしても良いからどんどん公共事業をやって、景気を浮上させようとしたのです。
また、本来地方交付税で措置するところを、財源が足りないからと地方自治体に借金をさせて補ってきたということも、地方の債務を増大させました。臨時財政対債というものです。この債務は後年度地方交付税措置をするという約束になっています。
ところが今年度取手市は地方交付税不交付団体になりました。それは名誉なことかもしれませんが、地方交付税が入ってこないということは、過去に起債した臨時財政対策債等の交付税措置分がお金としては入って来ないということなのです。この措置分は基準財政需要額の中に算入したのだが、それでも不交付団体になったと言われれば、臨時財政対策債は取手市の自前の資金で返済しなければならないのです。それでも国は「基準財政需要額の中に算入したのだから、後年度の交付税措置はきちんとしている」と言えるのです。国にとっては非常に都合の良いシステムになっています。
こうしたことは合併特例債についても言えることです。先日、地方財政の学習会で、「合併特例債の交付税措置は本当に行われるのか」と質問してみましたが、「基準財政需要額の中に算入するので、実際にお金として入ってくるかどうかは疑問である」との講師(東京自治研究センター研究員の菅原敏夫先生)の答えでした。また、合併特例債の起債が非常に厳しく査定されるそうで、『新市まちづくり計画』で予定したことが、本当に特例債事業として認められるかどうかは甚だ疑問であるとのことでした。つまり、合併の財政計画は当初から躓く公算が大きいということのようです。合併協議会事務局では、このあたりの事情をどの程度把握していたのか知りたいところです。私たち合併協議会委員も特例債関係の事情を甘く見てしまったようで、この件に関しては責任を感じています。
実際に特例債事業を決めるのは合併後の取手市議会です。私たち議員はしっかり勉強し、財政状況も見定めて判断を誤らないようにしなければならないと気を引き締めています。
合併によって得られるスケールメリットは、しばらく時間が経たなければ現れてきませんので、当分は厳しい財政運営となるでしょう。行財政改革をしっかりやって、無駄な支出を抑えなければなりません。必要に応じて事業の大幅な見直しなども行わなければならないと思います。
以上見てきたように、合併後もかなり厳しい財政事情になることが予想されます。どちらの自治体が損をするとか、得をするとかではなく、新市全体を考えて、できるだけ多くの皆様に納得していただけるような財政運営をしていくよう、市当局には要求していきたいと思っています。