財政困難な中での図書館運営
1.司書の適正人数
- ふじしろ中央図書館ぐらいの規模の図書館で、町民のニーズに細かく対応する為には司書は8人から10人ぐらい必要だと言われています。
2.現在の「ふじしろ中央図書館」の職員数
- 策定された当時の「藤代町立図書館基本計画」では、開館当初の人口を4万人と想定していた為、開館時の職員数を10人から12人としていました。その後人口の想定を実態に近づけた為、職員数も7人〜8人に削減しましたが、財政難のため、開館当初の職員数は5人となりました。そのうち司書の有資格者は館長を含めて3名です。その他パートの司書が3名いて、計8名スタートしました。6時まで開館するには二交代制をとる必要があり、そのため臨時職員として4名のの司書を採用する予定でした。しかし、15年度予算案が20日の本会議で否決されたので、開館当初は正職員と今までいたパートの司書で対応することになりました。上下階にカウンターがあるため、常時2人はカウンターに張り付かなければなりません。この体制で土・日開館となると、職員の交替が出来ず、現在思案中とのことでした。
3.ボランティアとの協力
- ふじしろ中央図書館では、開館に先立ってボランティアを募集しました。総勢50名ほどの方が応募してくださり、事前の研修を終えて活動を始めています。図書館のオープンの日には大勢のボランティアの方が館内の案内をしていました。開館後は、図書の整理や配架、子ども達への読み聞かせ、広報活動など様々な分野でボランティアの活躍が見られることでしょう。
- ボランティアは単なる無償の労働力ではありません。活動する本人の自発的な意思に基づいて行われ、本人の自己実現のための手段の一つでもあります。勿論図書館側と十分な協議のうえで活動がなされるものと思われます。
4.NPO委託
- 牛久市立図書館では、運営の一部を4月からNPOに委託しました。その結果、今まで閉館していた月曜日・祝日の開館が可能になり、開館時間の延長も図られました。開館日・開館時間の延長は、住民にとっては非常に有難いことだと思います。また、NPO委託によって経費の削減も見込めるとのことです。このようなNPO委託の良い面は認めますが、ここでは、そこにある様々な問題点も指摘しておきたいと思います。
- NPOの職員は司書資格を持っている者ばかりではないし、資格はあっても図書館での勤務経験の無い者もいます。図書館司書の仕事は高度に専門性を必要としますので、NPO委託によって図書館サービスの質の低下がおこるという心配があります。また牛久市の場合で見ると、NPOの職員は大勢の人が短時間ずつ交代で勤務するようになっているそうです。そのことによって、仕事の継続性が途切れてしまうということが危惧されますし、NPO職員と自治体の職員でどのように仕事を分担するかということも大きな問題です。同一の仕事をNPO職員も自治体職員も行う場合、協力体制がまずいと仕事自体が滞るということもあるかもしれません。
- もう一点、職員の守秘義務という点でも問題があるといえるでしょう。自治体職員には公務員としての守秘義務が課せられていますが、NPO職員にはそのような義務はありません。誰がどのような図書を選んでいるかなどは固く守られるべき個人情報ですが、守秘義務の無い職員がそれを扱うことには問題があります。NPOに委託する場合は、契約の段階で守秘義務についてきちんとした契約を交わすことが重要です。その上、NPO自身が職員との間で守秘義務の誓約をとる必要があるでしょう。
5.蔵書を増やす為の図書の寄贈
- 「あい・ねっと」では、財政の厳しい折だから、蔵書数を確保するために広く町民から寄贈してもらうのはどうかという意見が出ていましたが、私は原則的に、図書の寄贈によって蔵書数を増やすという考えには賛成できません。図書の寄贈にはいろいろ問題があります。それをクリアできるときだけ寄贈を受けるようにすべきだと考えています。
- 私の主宰する「谷中子ども文庫」にもはじめの頃は図書寄贈の申し出をたくさんいただきましたが、すべてお断りいたしました。それは、せっかく寄付してくださるという本を、受ける側の都合で取捨選択することはできないと思ったからです。児童図書の中には翻訳の雑なものや、抄訳、ダイジェスト版など問題の多いものが多々あります。しかし、それを良いと思って購入され、ご自分の子どもさんに読ませたであろうものを、抄訳だから要りませんとは言えなかったのです。いただいた図書をすべて書棚に置くことができなくては図書の寄贈は受けられないと考えました。図書券や現金の寄付は有難く頂戴しましたが。文庫には文庫の選書の基準がありますので、寄付をいただかなかったことは正解だったと今でも思っています。また、取手文庫連絡会の方々からも、「谷中文庫は図書の寄贈を受けないからうらやましい。私達のところは、はじめ本の少ないときに寄贈を受けたので、不要な本までいただくことになり、とても苦労している。」というご意見をいただいたことがあります。
図書館でも同じことが言えると思います。図書館で必要としない本の寄贈があったときの対処の仕方はとても難しいでしょう。例えば、時の過ぎたビジネス書などは図書館としては殆ど役に立たないものですが、捨てるのはもったいないからと寄付してくださった場合、困惑するのは図書館の職員です。図書館には図書館の蔵書構成と選書の基準があり、司書には限られた予算内で多くの住民の要望を満たす為に、専門的な観点から本を選ぶ責任があります。予算と相談しながら、どの分野の本をどれだけ入れていくかは、最も専門性が必要とされる司書固有の仕事です。寄贈本やリクエスト偏重で蔵書構成が崩れないような配慮もしなければなりません。以上のような理由から、図書館の自由を侵すことにもなりかねない安易な図書の寄贈には賛成できません。
もし、どうしても寄贈したい場合は、図書館の選書基準をおかさないようにすべきでしょう。寄贈を申し出た本の中からどれを選ぶかは、司書の権限とすれば寄贈も悪くないかもしれません。図書館が欲しているものだった場合のみ寄贈が認められるというシステムを作るのです。その場合、「せっかく寄贈使しようと思ったのに、あの人の本は受け入れて私の本は受け入れない」などと了見の狭いことを言わないよう、我々住民が心を広く持たなければならないと思います。