陳情第5号 『教育基本法「改正」ではなく、教育基本法に基づく施策を進めることを求める意見書を政府等に提出することを求める陳情』に対する賛成討論
私は、陳情第5号、『教育基本法「改正」ではなく、教育基本法に基づく施策を進めることを求める意見書を政府等に提出することを求める陳情』に賛成の立場から討論を致します。
そもそも教育基本法は、戦前の教育の反省に立って作られた教育法規の根本法であって、憲法と共に、戦後の日本を根底で支えてきた最も重要な法律のひとつであります。基本的人権の尊重を基盤に、個人の資質を生かし、それを十二分に伸ばしていくこと、つまり「個」の人格の完成が教育の目的であるという思想は、普遍的なものであって、今これを変える必要は全くありません。更に教育基本法には教育の機会均等が謳われており、このことが、障害児教育などを戦前に比して格段に充実させてきたのだと思います。
然るに、昨年3月、中教審は教育基本法改正という答申を出しました。それに沿う形で、この6月には自由民主党と公明党で組織している「教育基本法改正協議会」が、改正のための中間報告を出しています。その中で、教育基本法前文中の「日本国憲法の精神に則り」という文言を削除する方向を示していることは到底認められないことです。憲法と教育基本法は車の両輪のようなものであり、今教育基本法がこのような形で改正されれば、憲法改正に一歩踏み出すことになってしまうからです。
この中間報告では教育の目的を、人格の完成から人材育成に変えようとしています。国や経済界の求めに応じて、「役に立つ人材を作る」という様に、教育の目的を矮小化してはなりません。この点に関しては、法律の専門家集団である日本弁護士連合会も批判しているところです。
また、この中間報告で、「教育の中立性」を「教育行政の中立性」に変えようとしていることも到底認められないものであります。
今、子供達の現状に様々なひずみや問題点が出てきているのは事実でありますが、だからと言って教育基本法改正に動くのは拙速に過ぎるといえるでしょう。
今日の子供達に見られる様々な問題は、むしろ教育基本法の理念が、教育の中に十分に生かされてこなかったことに起因するのだと思います。そのような意味から、教育基本法を「改正」するのではなく、その理念を教育の中に生かす施策を進めることこそが大事であると考え、この陳情に賛成するものです。