従順な羊の群れを創るための「見せしめ」
グローバルピースキャンペーン・きくちゆみ
辻元清美さん逮捕とそのマスコミの対応をみなさんはどう感じられましたか。私は「1人殺せば殺人犯、100万人殺せば英雄」の「お金版」だ、と思いました。
彼女の政治生命を徹底的に殺そうとする大きな力の、なにか陰湿で卑劣なものを感じます。もちろん、日本は法治国家です。法律を破れば罰則があり、罪の軽重によって罰金を払ったり、服役をしなくてはなりません。でも、清美さんの犯した疑いのある罪は、NHKをはじめ、すべての日本のマスコミがトップで取り上げるような、重犯罪なのでしょうか。見せしめのように思えます。
清美さんは一人分の秘書の給料を、一人分の秘書の給料として使いませんでした。それで「詐欺罪」容疑で逮捕されてしまいました。しかし、彼女のやったことが新聞のトップ記事になるような罪であるとは、どうしても、私は思えないのです。
もちろん自分のやったことの責任は、誰でも取らなくてはなりません。でも巨悪は放置され、清美さんのように権力に真っ向から逆らった人物は、徹底的につぶされる。なんか、アンフェアだなあ。鈴木宗雄さんや暴力団とつるんでいた松浪さんは、今でも国会議員をしていますね。もっと大きいことをやっている、本当の黒幕の方々のお名前は、決して私たちの耳に入ることはありません。
私たちは知っています。日本中のダムや河口堰や原発が建設されるたびに、地元の政治家のふところに大金が転がり込むということを。建設業界からの企業献金という形ですが、もとを辿れば、そのお金は私たちの税金です。4000億円の原発建設では、3%がリベートとして流れる、と聞きました。なんと120億円です。
土建国家日本の公共工事と共に流れるお金で、自民党政権は戦後の日本の政治を独裁支配してきました。その構造は、原発やダムや空港などのメガ・プロジェクトだけでなく、日本全国の道路工事や護岸工事、砂防工事などでも、金額の多寡はありますが、同じ構造です。
まったく違う事件が脳裏をよぎります。JR東労組の組合員7人が、「強要罪」(本人の意志に反して何かを強引にさせる罪/軽犯罪)で逮捕されたまま、昨年11月から現在に至るまで拘留されているという事件です。日本のマスコミはこの事件の真相を伝えてないので、ほとんどの人は聞いたことがないでしょう。
あなたがもし何かの容疑をかけられて突然逮捕されたら?あるいは、あなたの夫や父親が突然逮捕されて、家に帰ってこなかったら、どうしますか?
容疑だけで逮捕され、刑が確定してないのに、拘置所入り。家族は会うこともできません。それも8ヶ月も。「まさか」と思うでしょう。ここは北朝鮮やイラクとは違う、自由と民主主義の法治国家だ、と。
本人たちは、無実を確信しています。彼らがしたことは、ある組合の仲間を一緒に戦争に反対するよう説得したに過ぎず、それが罪であり、逮捕・監禁されるようなこととは思っていません(その判断は裁判所がするでしょう)。その説得された本人が自ら組合をやめ、退職したあと「強要され退職をを余儀なくされた」として警察に訴えたのが2月11日。しかし、その前年の12月から公安二課による捜査が始まっていました。
公安はJR労組の事務所や役員宅を70箇所以上も捜索し、千点以上の書類などを押収しました。逮捕された7人は11月から現在にいたるまで、保釈もなし。こどもたちはお父さんに会えないまま、不安で淋しい日々を送っているでしょう。刑が確定しないまま(今、裁判中)彼らは8ヶ月以上に渡って小菅の東京拘置所に閉じ込められています。権力は、こんなこともできるんですね。
これは日本国家による日本市民の「拉致」ではないかしら。JR東労組は有事法制反対を掲げてがんばってきた労働組合です。権力側は彼らに「革マル」のレッテルを貼って、組合をつぶそうとしている、という声もあります。弁護士に聞きますと、普通、強要罪ぐらいの軽犯罪で逮捕されることは稀で、まして8ヶ月にもわたって拘留されることはないそうです。しかも接見さえ禁止。罪を認めれば、出してやる、という感じなんです。こんなことが日本で起きているなんて、信じられません。
北朝鮮の拉致被害にあわれた方々は、念願の帰国がかなったと思ったら、今度は
自分の子どもたちと別れたままになってしまっています。なんて残酷で悲しいこ
とでしょう。早く家族が一緒に暮らせるように、と心から願います。でも、この
平和な日本の中で、権力に反対する組合に属しているばかりに、ばらばらにされ
ている家族が7家族もいるのです。もう8ヶ月以上も、仮釈放もないまま・・・。
7人の方のご家族の方、特にまだ小さい子どもがいる家族にとって、なんと残酷なことでしょう。なんとかしたい、と思わずにはいられません。この事件についてのお問合せは、JR東労組(Tel:03-3375-5041)、JR総連(Tel:03-3491-7191)へ。
どうも日本の法律を作る国会や違法・合法の判断をする司法が、ちゃんと機能しているのか、心配になるできごとが相次ぎます。
ほとんどの日本の法律は私たちが選んだ国会議員ではなく、選ばれてもいない官僚たちが作っています。エリート官僚たちは確かに偏差値は高いでしょう。でも人間的にもっと大切な思いやり、弱者に共感する力、勇気、愛、公正さ、などを持ち合わせているのかしょうか。地球の健全さ・持続可能性を保つことも含め、目先の利益じゃなく、日本の真の国益を考えられるような人物がいるのでしょうか。
日の丸・君が代法、盗聴法、周辺事態法、個人情報保護法、住民基本台帳法、有事法制、イラク派兵・・・・次は、憲法改正、徴兵制かしら・・・?憲法違反と思われる法律がどんどん成立しても、私たちはそれを止めることができません。国家公務員や国会議員は憲法擁護義務があるのに、誰も逮捕されません。
例えば、私は有事法制が発動されても従いたくありません。そうしたら、清美さんのように、みせしめで逮捕されるのでしょうか。アメリカでは現政権の右傾化を嫌って、カナダへ移住する人が増えていますが、日本でもそういうことが起きてくるでしょう。
日本がどんどん嫌な国になっていきます。でも、日本の自然と食べものが大好きだから、ここに住みたいので、少しでもましな国にしていきたいので、ペンの力を使います(コンピュータの力か)。
まもなく、イラクに自衛隊が派遣される法案が可決しようとしています。連立与党(自民党・公明党・保守党)が過半数を占める今の国会では、世論が反対でも、彼らが通したい法律は何でも通ります。そして権力に逆らう者は、容赦なくつぶされます。私がここに書いたことは、氷山の一角。だからみんな従順な羊の群れになっていく。
自衛隊の人たちは、日本の国土を防衛するために入隊したはずです。アメリカのウソで始めた石油略奪戦争の尻拭いをしに、劣化ウランと化学物質汚染にまみれたイラクに行く義務はありません。米軍を護衛し、米軍の武器弾薬を運び、イラク人を殺したり、あるいは殺されることは、彼らの仕事ではない。
イラクは、日本国土ではありません。イラクに自衛隊を派遣することと、日本国土防衛は無関係です。むしろ、アラブ諸国の反感を買い、日本人がテロリストのターゲットになるだけです。
日本の中の川をめちゃくちゃにしてきた公共事業をチェックし続けている天野礼子さんの本を読むと、公共事業とその利権をあさる政治家の構造の一端を垣間見ることができます。『ダムとにっほん』『市民事業』など、素晴らしい著作でした。一読をお勧めします。
彼女は、論憲派(護憲でも改憲でもない、憲法を論議していこうとする学者・市民グループ)の五十嵐敬喜氏らと、「市民版憲法調査会」を始めています。9条を守りながら憲法を改正するそうです。来月8月19日の夜に東京で行われ学習会で私もお話をさせていただくことになりました。どなたでも参加できますので、興味のある方はどうぞ。場所と時間が決まりましたら、またこのニュースでお知らせします。
辻元清美さん、私はピースボート以来のあなたの仕事ぶりをずっと見て、陰ながら応援してきた友人のひとりとして、あなたが私腹を肥やすようなことに興味がないことを良く知っています。あなたが国会でやってきたことを応援していた市民は私を含め、沢山います。いつかまた清美さんが、ばんばん国会で鋭い質問をする日を楽しみにしています。どうか持ち前の明るさと、前向きさを失わないで、元気でいてください。
愛と感謝をこめて
ゆみ